自動車保険のしくみ

当ページのリンクには広告が含まれています。

 自動車や原付などを使っている人にとって、絶対に外しておけないのが自動車保険です。事故を起こしたら、自分だけではなく相手方へも大きな迷惑をかけることになりますので、それに対する備えは必要不可欠。

 だけど、自動車保険を契約したことのある人なら分かると思うんですが、あれの内訳って「〇〇補償」「〇〇保険特約」なんて名前のものがいっぱいあって、結構ややこしいんですよね。そこで、今回はその自動車保険について、解説していこうと思います。

目次

自動車保険を分解してみよう!

 自動車保険をざっくり大まかに分解してみました。

相手への補償

  • 相手の身体への補償……対人賠償責任補償
  • 相手のモノ(ぶつかった相手の車や塀など)への補償……対物賠償責任補償

自分への補償

  • 自分や同乗者の身体の補償……人身傷害補償
  • 自分のモノ(車)の補償……車両補償

その他の補償

 搭乗者傷害補償、弁護士費用補償、個人賠償責任補償、ロードサービス費用補償など。

 【広告】自動車保険を比較するなら:

相手への補償について

 相手への補償は対人賠償と対物賠償に分かれます。対人賠償というのは、事故を起こして相手方にケガをさせてしまったり、死亡させたりしたときに相手方にお金を払うこと。対物賠償は、事故で相手の車や建物などのモノを壊してしまった場合に相手方にお金を払うことですね。

相手の身体への補償……対人賠償責任補償

 相手をケガさせてしまったり、死亡させてしまった時の補償が対人賠償責任補償です。これについては、実は自動車賠償責任保険(自賠責)である程度はカバーされています。自賠責は、車を持っている人が必ず入っておかなきゃいけない保険のことですね。これに入ってないと車検に通りません。死亡補償は3000万、後遺障害で最高4000万円の補償となっています。

 でも、正直自賠責だけでは少ないと言わざるを得ません。相手の年齢や職種にもよりますが、億単位の賠償が必要になってしまうこともあるからです。そのような場合に、自賠責では足りない部分を補償してくれるのが「対人賠償責任補償」なんです。(あくまで「自賠責では足りない部分」のみの補償ですから、これに入っていても自賠責は必須です)

 自賠責以外の自動車保険への加入は任意ですので「任意保険」なんて呼ばれたりするんですが、「任意だから別に入らなくてもいいや」って理屈は通用しません。保険に入っていようがなかろうが、事故を起こしたら賠償金は請求されます。起こしてからでは遅いですので、自動車保険の対人賠償の限度額は、必ず無制限にして入っておきましょう

相手のモノへの補償……対物賠償責任補償

 相手の車やぶつかってしまった建物など、相手のモノ(車や建物など)に対する補償をしてくれるのが対物賠償責任補償です。いつどんな車とぶつかるかは分かりません。これも無制限にしておきましょう

 ちなみに、これは自賠責では補償されません。

自分への補償について

自分や同乗者の身体の補償……人身傷害補償

 人身傷害補償というのは、事故で自分や同乗者がケガをしたり、死亡してしまった時に、過失割合に関わらずお金が下りてくる保険です。「過失割合に関わらず」とはどういうことか、具体例で説明しましょう。

 【例】あなたが事故でケガをしてしばらく働けなくなり、あなたが被った損害が合わせて1000万円だったとします。過失割合は相手60:あなた40としましょう。この場合、相手の過失分(1000万円×60%=600万円)は相手に請求できますが、自分の過失分(1000万×40%=400万円)は自己負担になります。

 この例の場合でも、人身傷害補償に加入していれば、上限額までは自分の過失分400万円も保険会社から受け取ることができるんです。
  また、相手が自動車保険に入っていなくて相手の過失分(600万円)を払ってくれなくても、保険会社がその分をあなたに支払ってくれます。

 過失割合が決着するまで待つことなく、ケガをしたら必要なお金をすぐに受け取れるというのが人身傷害補償のメリットなんですね。

自分の車の補償……車両補償

 自分の車が事故で壊れて、修理したり廃車にしたりした場合にお金が下りてくるのが車両補償。通常、車の修理代も相手の過失分は相手に請求できますが、相手が払ってくれない場合でも、車両補償でお金をまかなうことができます

 ただし、車両補償をつけると、保険料は結構高くなります。また、少額の修理を車両補償でまかなってしまうと、等級が下がって結局支払う金額の方が大きくなってしまうということにもなりかねません。ですから車両補償は、必ずしも必要とは考えなくてよいでしょう。持っている車が中古車ならなおさらです。

その他の補償

 自動車保険の補償の内訳は基本的に上記の4つ(対人賠償、対物賠償、人身傷害、車両補償)です。これさえ知っていれば自動車保険の8割を知っていると言っても過言ではありません。が、残り2割にも重要なものがあるので、紹介しておきます。

搭乗者傷害補償特約

 この「搭乗者傷害」補償というのは、自分の車に乗っている人が事故でケガしたり、死亡したりしてしまったときにお金が下りてくる保険です。先ほどご紹介した「人身傷害補償」と似てますね。似ているのですが少し違うところがありますので、そこをご紹介します。

● 人身傷害補償
自分の車の運転手や同乗者が負ったケガや休業などの損害に対して、実際の損害額が補償される。

●搭乗者傷害補償
自分の車の運転手や同乗者が負ったケガや休業などの損害に対して、あらかじめ決まった額が補償される。
例……死亡時には一律〇万円、5日以上の入院で〇万円など。

 人身傷害補償があれば実際の損害額は保障されますので、人身傷害補償が主となった今では搭乗者傷害補償が付いていない自動車保険もあります。私も正直、人身傷害補償があれば搭乗者傷害補償はいらないかなと思っています。

 なお、保険会社によってこの特約の名称や補償内容に若干の違いがあります。「人身傷害定額払保険」なんて呼び方をしている場合もありますが、内容は「搭乗者傷害」補償(保険)とほぼ一緒です。

弁護士費用特約

 通常、事故が生じた際には保険会社の担当者が相手方と交渉をしてくれます。しかし、完全なもらい事故(自分の過失割合が0)の場合、保険会社は交渉してくれません。保険会社はあくまで「なんとかして相手に支払う金額を下げたい!」から交渉してくれるので、賠償の必要がない場合には交渉してくれないんですね。

 そんな時には弁護士に交渉を依頼することが一般的ですが、弁護士を立てるのって結構大変。私も実は弁護士立てて裁判やったことがあるんですが、230万円取り返すために50万か60万円くらいかかった記憶があります。もらい事故でこんなに費用負担しなきゃいけないなんて、結構痛いですよね。だからこそ、弁護士費用特約は付けておくのがオススメです。

 ちなみに私の妻の友人は、外国籍の方からもらい事故を受けて弁護士を立てたそうです。日本語も大して通じない相手に、自分で交渉するとなったら至難の業。本人は「この特約を付けておいてよかった」と言っていました。

個人賠償責任補償特約

 個人賠償責任補償特約こちらのページでも解説しています)は、日常生活の中で、人を傷つけてしまったり、他人の物を壊してしまったりした場合に補償が降りてくる保険です。たとえば、自分の不注意で相手の服を汚しちゃったり、子供がお友達をケガさせちゃったり、介護していたおじいちゃんが徘徊して線路に立ち入って電車を止めたりしてお金を払わなきゃいけなくなったときなどですね。また、自転車事故で相手にケガをさせたときにも、この補償が使えます。つまり自転車保険の代わりにもなる、それがこの「個人賠償責任補償特約」です。

 この保険(特約)自体はとってもオススメできるものなのですが、実は個人賠償責任保険ってのは、自動車保険だけじゃなくて、火災保険や、傷害保険(ケガ専用の医療保険みたいなもの)にもオプションとして付けられるようになっています。だから、現在契約中の火災保険や傷害保険などに、個人賠償責任補償がオプションでくっついていないか、まずは確認してみてください。仮に自動車保険と火災保険の両方にこの特約が付いていたとしても、支払われる金額は両方の保険から半々ずつになります。2倍お金がもらえることにはなりませんので、ご注意を。

その他の特約

 他人の車を運転していた時にも同様の補償を受けられる「他車運転危険補償特約」や、レッカー代などを補償してもらえる「ロードサービス費用特約」、事故で車内のモノが破損した場合に補償される「車内身の回り品特約」などがあります。他にもいろいろあるんですが、細かく見ていくとキリがありません。ですので自動車保険を比較する際は、「対人・対物賠償無制限、人身傷害補償〇万円、車両補償〇万円、弁護士費用特約付き」などというように、大まかに補償内容を決め、その他の細かい特約は外して比較してみるといいですよ。

 なお、「ロードサービス費用特約」については、近年ではクレジットカード等に自動付帯されていることもあります。そのような補償がすでにある場合には、自動車保険ではこの特約をナシにして、保険料を抑えておきましょう。

等級制度

等級制度と「事故あり係数」

 自動車保険には、等級制度というものがあります。簡単に言ってしまえば、事故をよく起こす人には高い保険料を、事故を起こさない人には安い保険料を適用するという、いわば安全運転のランクみたいなものです。

 この等級は全部で20等級ありまして、初めて自動車保険を契約する人は6等級から始まります。事故を起こさなければ翌年は7等級に昇級、事故を起こして保険を使えば、その事故の内容に応じて等級が下がるという仕組みです。

 加えて、同じ等級でも、最近事故を起こした人については「事故あり係数」というものが適用されて、少し保険料が高くなるという仕組みもあります。たとえば、10等級の人が3等級ダウンの事故を起こした場合には、翌年は7等級になりますね。これに加えて「事故あり係数」が3年間適用されるので、同じ7等級の中でも少し保険料が高くなってしまう、というわけなんです。「事故あり係数」から解放されるのは3年後、次に10等級まで戻ったときになります。

保険を使っても等級が下がらないことも!

 事故を起こして対人・対物賠償補償車両補償を使った場合には、基本的に等級が下がります。しかし、これらの補償を使わず、その他の補償のみ受け取った場合には、等級は下がりません。たとえば自損事故などで車両補償や対物賠償補償を使わず、人身傷害補償(自分や同乗者へのケガの補償)のみを使った場合には、等級は下がりません。弁護士費用補償やロードサービス費用補償も同様です。ですから、事故を起こしたら「等級を下げるのが心配だから、この程度なら自腹にしとこう」と考えず、その補償を使っても等級が下がらないかをまずは確認してみてくださいね。

自動車保険を変えても等級は引き継げる!

 等級制度は保険会社をまたいでほぼ共通の内容になっています。ですので、たとえば保険会社をA社からB社に乗り換えることになっても、A社での等級はB社でも引き続き適用してもらうことができます。「等級を維持したいからずっとA社のままで続けよう」なんて考えなくていいんです!現在の自分に最も適した保険会社を選びましょう。年齢によって最安な保険会社は異なるので、自動車保険の更新時には毎年見積もりを取っておくことがおススメです。

オススメの自動車保険の選び方

 自動車保険を選ぶなら、一括比較サイトがオススメです。条件を入力するだけで複数の自動車保険の見積もりを一気に取ることができます。

 一括比較サイトの中でも有名なのが、「インズウェブ」と「価格ドットコム」。この2サイトで見積もりを取っておけば、まず保険選びで失敗することはないでしょう。

 ただし、一括比較サイトで見積もりをとっても、細かい見積もり条件が保険会社によって違うこともあります。すべての保険会社をチェックするのは大変ですから、安い保険を3、4社程度ピックアップして、その中から細かい条件を比較してみてくださいね。

 ちなみに、私が入っている自動車保険はチューリッヒ保険の「ネット専用自動車保険」。年齢や性別、等級などにもよるのですが、この保険はメチャクチャ安くて補償内容にも不足がないのでオススメです!
 なお、チューリッヒ保険には「スーパー自動車保険」というものもあり、こちらも安くてオススメなんですが、ほとんどの場合「ネット専用自動車保険」の方が安く設定されているようです。ぜひ、他社と比較してみてください。
(「スーパー自動車保険」の一部の特約(車内身の回り品特約など)は「ネット専用自動車保険」では取り扱いがありませんが、オススメであることに変わりはありません。)

まとめ

  • 自動車保険を大まかに分解すると、
    ・相手の身体への補償(対人賠償補償) ・相手のモノへの補償(対物賠償補償) ・自分や同乗者の身体への補償(人身傷害補償) ・自分の車の補償(車両補償) ・その他の補償
    の5つ
  • 対人賠償対物賠償の補償上限は無制限にしておこう!
  • 人身傷害補償では、過失割合に関わらず実際の損害額が補償される。
  • 車両補償は、使うと等級が下がって余計にお金がかかることもあるから必須ではない。中古車ならなおさら。
  • 搭乗者傷害補償(人身傷害定額払い保険)は、人身傷害補償があれば必須ではない
  • もらい事故では保険会社は交渉してくれない!弁護士費用特約は付けておこう!
  • 個人賠償責任補償はオススメ!だけど他の保険(火災保険など)と重複していないか注意
  • 事故を起こして保険を使うと等級が下がることもある。等級が維持できるか確認しておこう!
  • 自動車保険を変えても等級は引き継げる!今の自分にとって最適、最安な自動車保険を選ぼう
  • 自動車保険を選ぶなら、一括比較サイトがオススメ!インズウェブ価格ドットコムが有名。
  • 筆者のオススメはチューリッヒの「ネット専用自動車保険

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
Subscribe
Notify of
guest

0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
目次