「貯蓄から投資へ」……政治家がこんな発言をしているのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
貯蓄、すなわち銀行預金などから、株式や投資信託などの投資商品にお金を回していきましょうと、いま国は動いています。
「投資なんかやって、もし暴落したら怖い」とか、「そんなリスクを背負うくらいなら、投資なんかしない方がマシだ」と思う人もいるかもしれませんね。だけど、私自身は「貯蓄から投資へ」お金を動かしていくことは必要と考えています。
では、なぜ今投資が必要なのか。これが今回のテーマです。
今回の記事はこんな人にオススメ
- 投資を始めたい方。
- 「投資は怖い!」と思っている方。
- 「投資を始めたいけど、なにから始めればいいの?」と悩んでいる方。
- お金で損をしたくない方。
お金の価値は変わっていく!
ちょっと時代をさかのぼって、1971年。この年、あるハンバーガーチェーンで「ビッグ〇ック」というでっかいハンバーガーが発売されました(みなさんご存じ、Mのマークのお店です)。この商品は人気を博し、現在でもそのハンバーガーチェーンのメインメニューになっています。
このビッグ〇ックですが、実は発売当初は200円でした。それが今では、税込み450円。2倍以上の価格となっています。(ねとらぼさんを参考にさせていただきました。)
さて、ここで問題。
ビッグ〇ックは、以前よりも高級品になってしまったのでしょうか?
その答えを知るために、大卒初任給を見てみましょう。1971年の大卒初任給は、4万6,400円。それに対して200円ですから、ビッグマックの価格は初任給の0.43%ですね。(年次統計さんを参考にさせていただきました)
一方で2022年の大卒初任給は、22万8,500円。それに対して450円ですから、ビッグマックの価格は初任給のおよそ0.20%です。このデータからは、ビッグ〇ックはむしろ現代の方が買いやすくなっている、と言うことができそうです。
ちょっとここで考えてみてください。200円から450円に値上がりしたのに、買いやすくなっている。これはちょっと変な感じがしませんか?
この違和感の正体は、「お金の価値は変わらない」という、誤った認識からきています。
「ちょっと待て、100円玉の価値は今も10年後も100円だぞ!」
という声が聞こえてきそうですね。でも、お金の価値っていうのは、〇円という数字で測れるような絶対的なものではありません。他のものと比較して初めて分かる、相対的なものなんです。
それはこんな例で考えてみると分かりやすいんじゃないでしょうか。
【例】同じ22万円でも、今ならおよそ給料1ヶ月分。1971年なら4.7ヶ月分ということになります。昔の方がお金の価値が高かったと言えますね。
同じ22万円でも、その実質的な価値はこの50年あまりの間にどんどん下がってきたわけです。
モノの値段はどんどん高くなっています。それはつまり、1万円で買えるものが減る ⇒ 1万円の価値(お金の価値)が下がる、ということなんですね。だから、毎月毎月1万円を貯金(貯蓄)していたとしても、それは実質的に「価値が減る貯金箱にせっせとお金を入れているようなもの」と言えます。
お金の価値を表す指標
お金(円)の価値を表すのは、大卒初任給だけではありません。ここでは、お金の価値を(間接的に)表す指標を、いくつかご紹介しましょう。
物価
日本のモノの値段(モノの価値)を表す指標ですね。消費者物価指数とかが代表的です。
ちなみに1970年の消費者物価指数は30.9、2022年の消費者物価指数は103.2でした。
モノの値段は上がっています。それは逆の言い方をすれば、お金(円)の価値が下がっているということなんです。
為替
外国のお金の価値を表す指標です。特に円と米ドルの相場はよくニュースにも出てきますね。
「1ドル=〇円」という言い方は、1ドルの価値を表したものです。だから、1ドル120円から130円に上がると、1ドルの価値が10円分アップ、すなわちドル高ということになります。逆に言えば、円安ということですね。
日経平均株価やTOPIXなどの株式指標
これらは株価の指標ですね。言い方を変えれば、日本企業の価値の指標です。これが高くなれば、日本企業の価値は高いと言えます。しかし一方で、「日本企業の価値に対してお金の価値が下がった」と言うこともできるんです。
【例】日経平均株価が1万円から2万円に上がったとします。これはもちろん、日本企業の価値が2倍に上がったということですが、逆に言えば「2万円の価値が、日本企業2株分から1株分に下がった(=円の価値が半減した)」と言うことができます。
投資をしないのは、全財産を1社の株に賭けるのと同じ!?
物価や為替、株式指標などはすべて変動していますよね。それはつまり、お金(円)の価値も変動している、ということです。言い方を変えれば、投資をしない(円という資産だけを持つ)という選択は、「円という1つの資産に全力で賭けている状態」なんです。例えていうなら、全財産をはたいて日本株式会社の株を買っているようなもの。
もちろん、今後物価が下がり、1ドルの価値も下がり、株式も下落し、相対的にお金(円)の価値があがっていく、そんな未来を予測しているのであれば「投資をしない」というのもありだと思います。でも、多分そうはならないですよね。(ついでに言うと、日本株式会社は少子高齢化により急速に顧客を失っている状態。これで会社(国)の価値を保つことができるかどうか……)
ならば、投資をしない(円だけを持つ)というのは、あまりオススメできる選択ではありません。
投資の格言「卵は一つのカゴに盛るな」
じゃあ、どうすれば良いのか。
投資の世界には、こんな格言があります。
「卵は一つのカゴに盛るな」
今、あなたは12個の卵を持っています。持っている卵をすべて同じカゴに入れたら、もしそのカゴを落としたときには、全ての卵を割ってしまうことになりますよね。
だから、卵は複数のカゴに分散しておきましょう。3個ずつ、4つのカゴに分散しておけば、もし1つのカゴを落としてしまったとしても、割ってしまうのは3個だけで済みますよね。
これは資産形成でも同じ。あなたの全財産を1つのものに全力投資するのは、オススメできるものではありません。預貯金以外にも株式や外貨など、複数の資産に分けて投資する、また株式の中でも複数の銘柄に分散して投資する、それが資産形成の王道なんです。
投資は投機(ギャンブル)とは違う!
いまご紹介した投資の方法(分散投資)は、一般的によくイメージされている投資とは少し違った印象を受ける方も多いのではないでしょうか。
一般的な投資のイメージは、「値上がりしそうな会社の株に全力でお金をつぎ込んで、上がったタイミングで売り飛ばす」というような、一獲千金を狙うようなものだと思います。実際私も、投資の勉強を始めるまではこんなイメージを持っていました。
しかしこれは、投資というよりも投機(ギャンブル)で、私がご紹介する投資とは全く違います。私が勧めている投資は、ギャンブルのように短期的に一獲千金を狙うものではなく、自分の持っている資産を分散し、長期的にその価値を守っていくことなんです。ですから、「投資なんかしたら財産がなくなってしまうかも」なんて、不安になる必要はありません。むしろ、自分の財産を守るためにも、上手に投資をしていく必要があるんです。
「普通の人」が効率よく分散投資をするには
でも普通の人にとって、投資って敷居が高いですよね。実際、ある程度大きな企業の株を買おうと思ったら、数十万円単位で必要になってくることもあります。そのようなまとまった大きなお金を一社に賭けてしまうのは、それこそ「ギャンブル」と言わざるを得ません。
そこで私がオススメしているのが、投資信託というものです。投資信託は、いわば「A社、B社、C社……X社の株等のパッケージ」を、数千円単位で買い付けできるようにしたものですね。少額から始めることもできますし、投資信託1つを購入することで複数の会社や資産に分散してお金を投資することができますので、初心者でも手軽に始めることができます。
投資信託は証券会社の他、銀行や郵便局などでも取り扱っていますので、ぜひ、自分の使っている銀行が投資信託を取り扱っていないか調べてみてください。筆者としては、手数料が安いネット証券で購入するのがオススメです。
投資信託の選び方、購入のしかた等は、また別の記事でご紹介することにしましょう。
まとめ
- お金の価値は変わっていく。
- 昔よりも物価が上がった、それは言い方を変えれば「お金の価値が下がった」ということ。
- 投資をしないのは、円という1つの資産に全力で賭けているのと同じ!
- 卵は一つのカゴに盛るな。コケて全財産を割ることがないよう、資産は分散しておこう。
- 投資と投機(ギャンブル)は違う。自分の持っている資産を分散し、長期的にその価値を守っていこう。
- 初心者が手軽に分散投資をするなら、投資信託がオススメ!